BtoBマーケティングとは?基本から実践までを体系的に解説

BtoBマーケティングとは?基本から実践までを体系的に解説

デジタル技術の進化により、BtoB企業における顧客獲得の方法は大きく変わりました。かつては営業担当者が足を運び、直接商談を重ねることで受注を獲得するスタイルが主流でしたが、現在では購買担当者がオンラインで情報を収集し、自ら比較検討を進めるケースが増えています。

一方で、以下のような声も増えています。

  • BtoBマーケティングに取り組みたいが、何から始めればよいかわからない
  • リードは獲得できているが、商談や受注につながらない
  • 営業部門とマーケティング部門の連携がうまくいかない

そこで本記事では、BtoBマーケティングの基本的な定義から、BtoCとの違い、具体的なプロセス、代表的な施策、そして成果を出すためのポイントまでを体系的に解説します。これからBtoBマーケティングに取り組む方にも、改めて基礎を確認したい方にも参考になる内容を目指しています。

BtoBマーケティングの定義とBtoCとの違い

BtoBマーケティングを理解するためには、まず基本的な定義を押さえ、BtoCマーケティングとの違いを明確にすることが重要になります。企業間取引ならではの特性を把握することで、適切な戦略設計が可能になるでしょう。

BtoBマーケティングとは

BtoBマーケティングとは、企業が企業に対して商品やサービスを販売するためのマーケティング活動全般を指します。「BtoB」は「Business to Business」の略称で、法人間取引を意味しています。

一般消費者向けのBtoCマーケティングとは異なり、BtoBマーケティングでは意思決定に複数の担当者が関与し、検討期間が長期化する傾向があります。また、商材単価が高く、購買プロセスが複雑であるため、一度の接点で購入に至ることは少ないと言えます。

そのため、BtoBマーケティングでは見込み客との最初の接点づくりから、継続的なコミュニケーション、商談への引き継ぎまでの一連のプロセスを設計することが求められます。この流れは「デマンドジェネレーション」とも呼ばれ、リードジェネレーション(見込み客の獲得)、リードナーチャリング(見込み客の育成)、リードクオリフィケーション(見込み客の選別)という3つのプロセスで構成されます。

BtoBマーケティングにおいては、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠であり、両者が共通の目標を持ち、リードの質と量を最適化していくことが成果創出の鍵となります。

実際、ある業務支援系クラウドサービス企業では、「誰に、何を、どのように届けるべきか」という基本戦略を整理することから始め、ターゲットとなる顧客を特定し、提供価値を明確にした上で、デジタルマーケティングを推進するための戦略基盤を構築しました。この「基本に立ち返る」アプローチが、その後のマーケティング活動を成功に導く土台となったのです。

BtoBとBtoCの違い

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングには、いくつかの重要な違いがあります。

項目 BtoB BtoC
対象顧客 企業・法人 一般消費者
意思決定者 複数人が関与 個人判断が中心
購買動機 論理的・合理的判断 感情・衝動が影響
検討期間 長期間(数週間〜数ヶ月) 短期間(即日〜数日)
取引金額 高額になることが多い 比較的少額
購買プロセス 複雑・段階的 シンプル

BtoCでは個人の感情や衝動が購買に大きく影響しますが、BtoBでは論理的な判断、投資対効果(ROI)、業務課題の解決といった合理的な要素が重視されます。

また、BtoBでは価格だけでなく「導入後の運用コスト」や「業務プロセス全体への影響」といった総合的な観点から購買決定がなされます。ターゲットとなる企業の母数もBtoCと比較して限られているため、幅広くアプローチするよりも、ターゲットを絞り込んで質の高いリードを獲得する戦略が有効となります。

BtoBの購買意思決定の特徴

BtoB取引における購買意思決定には、いくつかの特徴的なポイントがあります。

まず、意思決定に関与する人数の多さです。BtoCでは購入者本人が判断すれば購買が成立しますが、BtoBでは現場担当者、管理職、経営層など複数のステークホルダーが関与します。それぞれの立場によって重視するポイントが異なるため、各関係者に対して適切な情報提供を行う必要があります。

次に、検討期間の長さです。高額な投資判断となるBtoB取引では、社内での稟議プロセスや複数社の比較検討が行われるため、初回接触から成約までに数ヶ月以上かかることも珍しくありません。

さらに、情報収集行動の変化も見逃せないポイントです。多くの購買担当者が、営業担当者に会う前に購買プロセスの大半を済ませているという調査結果もあります。つまり、オンラインでの情報提供がいかに充実しているかが、商談の成否を大きく左右する時代になっているのです。

BtoBマーケティングが重要になる背景

なぜ今、BtoBマーケティングへの注目が高まっているのでしょうか。その背景には、購買行動の変化と従来型営業の限界という2つの要因があります。

オンラインでの情報収集が主流に

デジタル化の進展により、BtoB企業の購買担当者の情報収集方法は大きく変化しました。

かつては展示会や業界セミナー、営業担当者からの説明が主な情報源でしたが、現在では検索エンジンやソーシャルメディア、企業のWebサイトなどオンラインでの情報収集が主流になっています。

この変化により、購買担当者は自ら能動的に情報を集め、複数の選択肢を比較検討した上で、興味を持った企業にのみコンタクトを取るようになりました。企業のWebサイトを情報源として活用する担当者の割合は非常に高く、オンライン上での情報発信が商談機会の創出に直結する時代になっています。

こうした購買行動の変化に対応するためには、見込み客が情報収集する段階から接点を持ち、自社の存在を認知してもらう必要があります。SEOによる検索流入、ホワイトペーパーの提供、ウェビナーの開催など、オンラインを通じた見込み客との接点づくりが不可欠になっているのです。

また、生成AIの普及により、購買担当者の情報収集方法はさらに進化しています。AIを活用した情報検索や比較検討が一般化しつつあり、企業側もこうした変化に対応したコンテンツ戦略を求められるようになっています。

営業活動だけでは限界がある理由

従来型の営業活動、特にテレアポを中心としたアウトバウンド営業だけでは、効率的に見込み客を獲得することが難しくなっています。

その理由の一つは、購買担当者側の行動変化です。先述の通り、多くの担当者が営業接触前に情報収集と比較検討を済ませているため、いきなり電話をかけても関心を持ってもらえないケースが増えています。

もう一つの理由は、営業リソースの限界です。すべての見込み客に対して営業担当者が直接アプローチするには膨大な時間と人員が必要であり、効率的な営業活動とは言えません。

そこで重要になるのが、マーケティング活動を通じて見込み客との接点を作り、興味関心を高めた上で営業に引き継ぐという役割分担です。マーケティング部門が「温まったリード」を創出し、営業部門がクロージングに集中することで、組織全体としての生産性を高めることができます。

実際に、マーケティングと営業が連携してインバウンドでのリード獲得に注力した結果、案件化率が大幅に向上した事例も報告されています。リード数を増やすだけでなく、「質の高いリード」を創出することこそが、BtoBマーケティングの成果と言えるでしょう。

BtoBマーケティングの基本プロセス

BtoBマーケティングは、見込み客の獲得から商談への引き継ぎまで、段階的なプロセスで構成されます。各段階の役割を理解し、適切な施策を設計することが成果創出につながります。

リードジェネレーション(見込み客の獲得)

リードジェネレーションとは、自社の製品・サービスに興味関心を持つ見込み客の情報を獲得するプロセスです。「リード」とは将来的に受注につながる可能性のある見込み客のことで、BtoB領域においては企業名、担当者名、連絡先などの情報を取得することを意味します。

リードジェネレーションは顧客との最初の接点を作る重要なプロセスであり、マーケティング活動において最も重視される段階と言えます。

主なリード獲得手法には、オンラインとオフラインの両方があります。オンライン施策としては、コンテンツSEO、Web広告、SNSマーケティング、ウェビナーなどが挙げられます。オフライン施策としては、展示会出展、セミナー開催、テレアポ、ダイレクトメールなどがあります。

ただし、BtoB領域ではリード獲得の「数」にこだわり「質」を軽視すると、後続する商談・成約のプロセスで有効なリードにならず、結果的に成果につながらない状況に陥ることがあります。

「目の前に人がいたら、どう話すか」という営業視点を持つことで、単なるリード数の追求ではなく、本当に商談につながる見込み客との接点づくりを意識することが大切です。テクニックや施策ありきではなく、コミュニケーションとしてマーケティングを捉えることで、質の高いリード獲得が可能になります。

なお、リード獲得施策を実行する際には、施策の順序も重要です。ある企業では、複数の施策を検討する中で、まず「全チャネルの受け皿となるサービスサイト」の改修から着手しました。サービスサイトでリードの取りこぼしが起きてしまうと、その後に広告やSEOなどの施策を行っても成果につながらない可能性があるためです。サービスサイトの最適化を完了した後に、デジタル広告やコンテンツSEOに着手する方針としたことで、施策の効果を最大化できました。

このように、リード獲得施策は単体で考えるのではなく、見込み客がどのような経路で自社にたどり着き、どこでコンバージョンするのかという全体像を把握した上で、ボトルネックとなる部分から優先的に改善していくことが重要です。

実際に、ある業務支援系SaaS企業では、コーポレートサイトのリニューアルを通じてCV数を200から300へと1.5倍に増加させた事例があります。この企業では、会社としてありたい姿とユーザーが求めているインサイトを加味してサイト全体のシナリオや訴求軸を定め、全ての下層ページ(サービス紹介ページ、機能紹介ページ、問い合わせフォームなど)でユーザーとのコミュニケーションを見直しました。特筆すべきは、Webサイトへのセッション数には大きな変化がなかったにもかかわらず、サイト内のCTA改善や構成へのテコ入れだけでCVRを劇的に改善できた点です。つまり、流入を増やす施策の前に、受け皿となるサイトを最適化することの重要性が示された好例と言えます。

リードナーチャリング(見込み客の育成)

リードナーチャリングとは、獲得した見込み客の購買意欲を高め、商談・受注へとつなげるプロセスです。「ナーチャリング」は育成を意味し、製品・サービスへの検討度合いに応じた適切なアプローチを継続的に行います。

BtoB領域では、リード獲得から受注までの期間が長いため、その間に見込み客の興味関心を維持・向上させることが重要です。適切なナーチャリングなしでは、せっかく獲得したリードが休眠化してしまう恐れがあります。

代表的なナーチャリング手法には以下のものがあります。

メールマーケティング: リードのメールリストに対してメルマガやステップメールを配信する手法です。顧客の段階に合わせて適切な情報を提供し、購買意欲を高めます。同じ内容を一斉送信するのではなく、顧客属性や興味関心に応じてセグメント配信することが効果的です。

導入事例・成功事例の提供: 見込み客が持つ「本当に効果があるのか」という不安を解消するために、同業種や類似課題を持つ企業の導入事例を提供します。

ウェビナー・セミナーの開催: 特定テーマに関心のあるリードを集め、専門知識を提供することで信頼関係を構築します。参加者の反応や質問から購買意欲の高いリードを特定することもできます。

インサイドセールス: 電話やメールでのフォローアップにより、リードの課題やニーズを直接ヒアリングし、購買意欲を把握します。

ナーチャリングで重要なのは、コンテンツそのものではなく、そこから生まれるコミュニケーションに価値があるという視点です。情報を一方的に伝えるのではなく、見込み客との対話を通じて信頼関係を構築していくことが成果につながります。

リードクオリフィケーション(見込み客の選別)

リードクオリフィケーションとは、獲得・育成したリードの中から、商談に進む可能性が高い見込み客を選別するプロセスです。

すべてのリードに対して営業がアプローチするのは効率的ではありません。購買意欲や検討度合いを見極め、「今すぐ商談できる状態」のリードを優先的に営業に引き継ぐことで、営業活動の生産性を高めることができます。

リードの選別には、スコアリングという手法がよく用いられます。リードの行動(Webサイトの閲覧回数、資料ダウンロード、ウェビナー参加など)や属性(企業規模、業種、役職など)に点数を付け、一定のスコアに達したリードを「ホットリード」として営業に引き継ぎます。

マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用することで、このスコアリングを自動化し、効率的にホットリードを特定することが可能です。

ただし、スコアリングはあくまで目安であり、数値だけで判断するのではなく、実際の商談結果をフィードバックしながら精度を高めていくことが大切です。マーケティング部門と営業部門が定期的に情報交換を行い、「どのようなリードが商談化・受注につながったか」を確認することで、リードの質を継続的に改善できます。

商談・受注への引き継ぎ

リードクオリフィケーションを経て選別されたホットリードは、営業部門に引き継がれ、商談・受注のプロセスに入ります。

この引き継ぎの段階で重要なのは、マーケティング部門が把握している情報を営業部門に適切に共有することです。リードがどのような経路で流入したか、どのコンテンツに興味を示したか、どのような課題を抱えていそうかといった情報は、営業活動の質を高める上で非常に有益です。

また、商談後の結果をマーケティング部門にフィードバックする仕組みも重要です。商談化率や受注率を確認し、質の高いリードを獲得できているかを検証することで、マーケティング施策の改善につなげることができます。

成果を追求する組織では、マーケティング部門がリード数だけでなく、商談化数や受注率といった「自部門だけではコントロールできない指標」も意識することで、営業との連携が強化されます。「どのようなリードが求められているのか」をコミュニケーションする機会が生まれ、より質の高いマーケティング活動が実現できるのです。

代表的な施策と選び方

BtoBマーケティングには多様な施策があり、自社の状況や目的に応じて適切なものを選択することが重要です。オンライン施策とオフライン施策それぞれの特徴を理解し、効果的な組み合わせを検討しましょう。

オンライン施策の種類

デジタル化が進む現代において、オンライン施策はBtoBマーケティングの中核を担っています。代表的な施策を見ていきましょう。

コンテンツSEO

検索エンジンをタッチポイントとしたコンテンツマーケティングです。ユーザーのニーズを満たすコンテンツを継続的に発信し、検索上位を獲得することで見込み客との接点を作ります。

比較検討段階のユーザーが検索しそうなキーワードで記事を作成し上位表示を狙うことで、購買意欲の高いリードを獲得できます。ただし、成果が出るまでには一定の期間を要するため、中長期的な視点での取り組みが必要です。

Web広告

リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、Web上で配信する広告です。短期間で多くのユーザーと接点を持てることがメリットで、早ければ即日で広告を配信し効果を検証できます。

リスティング広告は「比較・検討」段階の顕在顧客にアプローチでき、受注につながりやすいリードを獲得できます。BtoB領域でまずリード獲得を始める場合、リスティング広告から検討することが推奨されます。

SNSマーケティング

LinkedIn、X(旧Twitter)、YouTubeなどを活用したマーケティングです。特にLinkedInはビジネスパーソンが多く利用しているためBtoB企業に適しています。

ただし、SNS経由のリードは潜在顧客になることが多く、即座に商談につながるケースは限られます。認知拡大やブランディングの観点で活用しつつ、他の施策と組み合わせることが効果的です。

ウェビナー

オンライン上で行うセミナーです。場所を選ばず参加できるため、広範囲のターゲットにアプローチ可能です。製品デモ、ノウハウ解説、成功事例紹介を通じて質の高いリードを獲得できます。

また、録画を活用することで継続的なリード獲得資産としても活用できます。ウェビナー参加者には一定の興味関心があるため、その後のナーチャリングにつなげやすいという特徴があります。

ホワイトペーパー

自社の商品やサービスのメリット、活用方法、業界動向などをまとめた資料です。ダウンロード時に連絡先を取得することでリード獲得につなげます。

見込み客にとって価値のある情報を提供することで、自然な形で接点を作ることができます。検討段階に応じて複数のホワイトペーパーを用意することで、ナーチャリングにも活用できます。

オフライン施策の種類

デジタル化が進んでも、対面でのコミュニケーションには独自の価値があります。オフライン施策も状況に応じて効果的に活用しましょう。

展示会出展

業界の展示会に出展し、来場者との直接的な接点を作る手法です。一度に多くのリードを獲得できることがメリットで、数百から数千という規模でリード情報を収集できるケースもあります。

来場者と直接会話ができるため、ニーズや課題をその場で把握できます。ただし、獲得リードの多くは「認知」段階にあることが多いため、その後のナーチャリング施策との連携が前提となります。

セミナー開催

対面でのセミナーは、オンラインのウェビナーとは異なる価値があります。参加者と直接コミュニケーションを取れるため、より深い信頼関係を構築できます。

特に高額商材や複雑なサービスの場合、対面での説明や質疑応答が購買決定に大きく影響することがあります。

インサイドセールス・テレアポ

電話を通じた営業活動です。比較検討段階の見込み客に適切なタイミングでアプローチできれば、商談・受注へと進められます。

ただし、無作為な架電は成功率が低く、営業担当者の負担も大きくなります。マーケティングで獲得したリードに対するフォローアップとして活用することで、効率的な営業活動が可能になります。

ダイレクトメール(DM)

顧客情報をもとに、商品・サービスの情報を郵送する手法です。デジタル施策が増える中、物理的な郵送物は目に留まりやすいというメリットがあります。

受け取る人と中身を読む人(担当者や決裁者)が異なることを意識し、両者が「自社にとって有益」と感じられる内容を設計することが大切です。

施策選定のポイント

多様な施策の中から、自社に適したものを選ぶ際のポイントを整理します。

目的から逆算する

まず「何のためにマーケティングを行うのか」という目的を明確にします。リード獲得が目的なのか、認知拡大が目的なのか、既存顧客へのアップセルが目的なのかによって、選ぶべき施策は異なります。

ターゲットを明確にする

自社のターゲットがどのような情報収集行動を取っているかを把握することが重要です。検索エンジンで積極的に情報収集するのか、SNSで業界情報をチェックするのか、展示会に足を運ぶのかによって、効果的なタッチポイントは変わってきます。

リソースを考慮する

施策によって必要なリソース(予算、人員、時間)は大きく異なります。コンテンツSEOは成果が出るまで時間がかかりますが、継続的なリード獲得資産になります。Web広告は即効性がありますが、配信を止めれば効果も止まります。自社のリソース状況に応じた選択が必要です。

複数施策の組み合わせを検討する

単一の施策だけで成果を出すことは難しく、複数の施策を組み合わせることが一般的です。例えば、Web広告でウェビナーに集客し、ウェビナー参加者にメールでナーチャリングを行い、ホットリード化したら営業にトスアップするといった流れが考えられます。

成果を出すためのポイント

BtoBマーケティングで成果を出すためには、施策の実行だけでなく、組織体制の構築と効果測定の仕組みづくりが重要になります。

営業との連携体制

BtoBマーケティングにおいて、マーケティング部門と営業部門の連携は成果創出の鍵を握ります。

マーケティングが獲得したリードが営業を通して受注につながったかどうかを確認するために、両者の連携強化が不可欠です。マーケティングチームと営業チームの間に認識のズレがあると、リードの質が低下したり、ホットリードを逃したりする恐れがあります。

連携を強化するためのポイントを見ていきましょう。

共通の目標設定

マーケティング部門と営業部門が別々のKPIを追いかけていると、全体最適が実現できません。最終的な売上目標から逆算し、両部門が共通で追うべき指標(商談化数、受注率など)を設定することが重要です。

定期的な情報共有

週次や月次でのミーティングを設け、リードの状況、商談の進捗、成約・失注の理由などを共有します。この情報交換を通じて、マーケティング施策の改善点が見えてきます。

リードの定義の明確化

「どのような状態のリードを営業に引き継ぐか」という基準を明確にします。MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティングが認定したリード)とSQL(Sales Qualified Lead:営業が認定したリード)の定義を両部門で合意しておくことで、スムーズな引き継ぎが可能になります。

フィードバックループの構築

営業が受け取ったリードの結果(商談化したか、受注に至ったか)をマーケティングにフィードバックする仕組みを作ります。このループがあることで、マーケティングは「どのような施策で獲得したリードが成果につながっているか」を把握でき、施策の精度を高められます。

成果を追求する組織では、単にリード数を追うのではなく、「案件化できるようなリードを創出するには、どういうマーケティング活動が必要か」を主体的に考えるようになります。

ある企業では、マーケティング部門と営業部門が別組織として運営されていたため、連携に課題を抱えていました。しかし、部門を横断して失注・受注分析を行い、「どのようなリードが商談化・受注につながりやすいか」を定期的に確認する仕組みを構築したことで、マーケティング施策の精度が向上しました。重要なのは、数値だけを見るのではなく、営業担当者との対話を通じて「なぜそのリードは受注に至ったのか」「なぜ失注したのか」という背景を理解することです。この定性的な情報が、ターゲット設定や訴求内容の改善に大きく貢献します。

ターゲット設定とペルソナの精緻化

BtoBマーケティングの成果を高める上で、ターゲットの解像度を上げることは極めて重要です。

ある人材サービス企業では、対象ユーザー層が広く設定されていたため、どの層が成果に直結しやすいかの可視化が不十分で、マーケティング効率が低下していました。そこで、現場担当者への複数回のヒアリングを実施し、ペルソナおよびカスタマージャーニーを作成。その結果、一般的な訴求軸に共感する層よりも、「特定の状況において主体的に動きづらいため、効率的にサポートを受けたい」というニーズを持つユーザーが一定数存在することが明らかになりました。

この発見を基に訴求内容を変更したところ、指名検索からのCVRが倍以上に向上し、複数媒体でのスカウトメールのCVRも大幅に改善しました。

ターゲット設定を精緻化する際のポイントは以下の通りです。

現場の声を活用する

営業担当者やカスタマーサポートなど、実際に顧客と接している現場担当者へのヒアリングを通じて、顧客の行動や心理を深掘りします。定量データだけでなく、定性的な情報も組み合わせることで、より正確なペルソナを構築できます。

データと実態の整合性を確認する

自社のユーザー行動に関するデータが、一般的に言われている傾向と異なる場合があります。その要因や背景を探ることで、自社ならではの訴求軸を見つけることができます。

段階的に検証する

訴求内容を大幅に変更する場合は、全体への反映を急がず、まずは限定的な範囲でテストを行います。週次で効果を検証し、成果が確認できた段階で他の施策にも適用することで、リスクを抑えながら改善を進められます。

この「段階的な検証」の重要性は、多くの成功事例で共通して見られるポイントです。ある人材サービス企業では、ターゲットの訴求内容を大幅に変更する際、一気に全施策へ反映するのではなく、まずサイトのみに反映して指名検索からのCVR変動をテストしました。成果減少がないことを確認してから、スカウトメールの文面や他の広告施策にも順次適用したことで、リスクを最小限に抑えながら全体のCVR向上を実現しています。

効果測定とPDCA

マーケティング活動の成果を正しく測定し、継続的に改善していくことが、中長期的な成功につながります。

KGIとKPIの設計

まず最終目標となるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を設定します。例えば「年間受注件数」や「売上目標」などです。次に、KGI達成に向けた中間指標としてKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。

KPIの例としては、以下のようなものがあります。

  • リード獲得数
  • 商談化率
  • 受注率
  • リード獲得単価(CPL)
  • 顧客獲得単価(CPA)

KPIツリーの活用

KGIを頂点に、それを達成するための要素を分解していく「KPIツリー」を作成することで、どの指標を改善すれば成果につながるかが可視化されます。

例えば、「問い合わせ数」が伸び悩んでいる場合、KPIツリーがあれば「サイトへの流入は十分か」「流入はあるがフォーム遷移率が低いのか」「フォーム遷移はあるが入力完了率が低いのか」といったボトルネックを特定できます。

施策ごとの成長率で評価する

複数の施策を評価する際、ある時点でのKGIへの貢献度を相対評価するのではなく、施策単体の成長率で評価することが重要です。

例えば、SEOは即効性がなく初期は結果が見えにくいですが、継続すれば安定した流入が期待できます。一方、広告は配信開始時点で即座に効果が出ます。この2つを同じ時点で比較すると、広告が優位に見えてしまい、SEOの長期的価値を見落とす可能性があります。各施策の特性を理解し、それぞれの成長率を個別に評価することで公正な判断が可能になります。

PDCAサイクルを回す

Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のサイクルを継続的に回すことで、マーケティング活動の精度を高めていきます。

特にBtoBマーケティングは成果が出るまでに時間がかかることが多いため、短期的な結果に一喜一憂せず、中長期的な視点でPDCAを回すことが大切です。結果だけでなく、その原因から新たな仮説を立てて改善に活かしていく姿勢が求められます。

なお、PDCAを回す際には「仮説→実行→検証→改善のサイクルをとにかく速く回す」ことを意識することで、限られたリソースでも大きな成果を生み出せます。あるライフスタイルメディアを運営する企業では、外部環境の激変によりユーザー数が激減する危機に直面しましたが、チームで毎日ミーティングを行い、「これは良さそう」「これは微妙」といった評価を即座に行って次の行動につなげることで、わずか3〜4ヶ月で元の水準にまで回復させました。正解が誰にもわからない状況でも、小さな仮説を立てては検証し、そこから得た気づきを次のアクションにつなげていく姿勢が重要です。

事例に学ぶBtoBマーケティング成功のポイント

BtoBマーケティングで成果を出している企業には、いくつかの共通点があります。実際の取り組みから得られた教訓をまとめます。

「誰に、何を、どのように」を明確にする

ある業務支援系クラウドサービス企業では、デジタルマーケティングの専門知識を持つ人材がおらず、何から始めるべきかわからない状態でした。リファラル依存の案件獲得が主軸となっており、新規顧客の獲得が頭打ちになっていたのです。

この企業が最初に取り組んだのは、「誰に、何を、どのように届けるべきか」という基本戦略の整理でした。ターゲットとなる顧客を特定し、提供価値を明確にした上で、カスタマージャーニーを作成。各チャネルの課題と解決方法を整理し、全体戦略に落とし込みました。

特筆すべきは、「短期で成果を出すためにどうすれば良いか」という視点で施策の優先順位を決定したことです。解決すべき課題が多い中で、まずサービスサイトの改修から着手し、その後にデジタル広告やコンテンツSEOに取り組む順序としました。

また、施策を実行するための体制も同時に構築。必要なスキルセットを棚卸しした上で業務委託をアサインし、スピーディーに体制を整えました。

結果として、約1年で国内市場No.1のシェアを獲得。「売れ続ける仕組み」を早期に構築できたことが成功の要因でした。

ターゲットの解像度を上げて訴求を最適化する

人材マッチングサービスを展開するある企業では、広告単価の上昇と検索流入の競争激化により、リード獲得が伸び悩んでいました。対象ユーザー層が広く設定されていたため、どの層が成果に直結しやすいかが見えにくい状況でした。

この企業が取り組んだのは、現場の営業担当者への徹底的なヒアリングでした。複数回のヒアリングを通じてペルソナとカスタマージャーニーを作成し、「一般的な訴求軸に共感する層」よりも、「特定の状況で効率的なサポートを求める層」が一定数存在することを発見しました。

さらに、自社のユーザー行動データが業界の一般的な傾向と異なることも確認。その背景をヒアリングで明確化し、ターゲットが求める内容と現場の実態が矛盾しないよう調整を徹底しました。

訴求内容の変更にあたっては、リスクを考慮して段階的に展開。まずサイトに反映させて指名検索からのCVR変動をテストし、成果減少がないことを確認してから他施策にも適用しました。

結果として、指名検索からのCVRが倍以上に向上。複数媒体でのスカウトメールのCVRも大幅に改善し、事業収益の向上につながりました。

共通する成功要因

これらの事例から導き出される、BtoBマーケティング成功のポイントは以下の通りです。

1. 基本戦略を最初に整理する

施策の実行を急ぐあまり、「誰に、何を、どのように」という基本を疎かにしてしまうケースは少なくありません。まずはターゲットの特定と提供価値の明確化から始めることで、その後の施策がすべて意味のあるものになります。

2. 施策の優先順位を成果起点で決める

やりたいことや流行している施策ではなく、「どの施策が成果にもっとも影響するか」という視点で優先順位を決定します。特にリードの受け皿となるサービスサイトは、他の施策に先立って最適化する価値があります。

3. 現場の声を活用してターゲット解像度を上げる

定量データだけでなく、実際に顧客と接している現場担当者の知見を活用することで、より正確なペルソナを構築できます。ターゲットの解像度が上がれば、訴求の精度も自然と高まります。

4. 変更はリスクを抑えて段階的に行う

大きな変更を一度に行うと、何が成功要因かわからなくなります。限定的な範囲でテストを行い、効果を確認してから展開範囲を広げることで、リスクを抑えながら改善を進められます。

5. 実行できる体制を同時に整える

戦略や施策が決まっても、実行する体制がなければ絵に描いた餅になってしまいます。必要なスキルセットを棚卸しし、社内リソースで不足する部分は外部パートナーの活用も検討することで、スピーディーな実行が可能になります。

まとめ

BtoBマーケティングとは、企業が企業に対して商品・サービスを販売するためのマーケティング活動全般を指します。BtoCとは異なり、複数の意思決定者が関与し、検討期間が長期化する特性があるため、段階的なアプローチが求められます。

購買担当者がオンラインで情報収集を行う現代において、マーケティング活動の重要性は高まっています。リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションという一連のプロセスを通じて、質の高い見込み客を創出し、営業に引き継ぐことが成果創出の鍵となります。

施策としてはオンライン(コンテンツSEO、Web広告、ウェビナーなど)とオフライン(展示会、セミナーなど)の両方があり、自社の目的やターゲット、リソースに応じて適切に組み合わせることが重要です。なお、施策を実行する際は、リードの受け皿となるサービスサイトの最適化から着手し、その後に集客施策に取り組むという順序を意識することで、施策全体の効果を最大化できます。

そして何より、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠です。リード数だけでなく、商談化率や受注率といった指標も意識しながら、両部門が共通の目標に向かって協力する体制を構築することで、持続的な成果が生まれます。

また、ターゲットの解像度を上げることも重要なポイントです。現場担当者へのヒアリングを通じて、定量データだけでは見えてこない顧客のニーズや行動を把握し、訴求内容を最適化することで、CVRの大幅な改善が期待できます。

BtoBマーケティングに取り組む際は、まず自社の現状と課題を整理し、「誰に、何を、どのように届けるべきか」という基本戦略を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。

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著者

永田 さおり

永田 さおり

Growth Architect

業界歴10年以上。2017年株式会社MOLTSに参画。BtoB・BtoC問わず多様な業種業態でマーケティングの立ち上げから実行までを一貫支援。組織開発やコミュニケーション設計を中心にコンサルティングを行う。

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