AIベースのプロジェクトを加速する「サーキット化」

AIベースのプロジェクトを加速する「サーキット化」

AIを活用するようになって、個人の生産性は確実に上がっています。

調べものは速くなった。ドキュメントを作るのも楽になった。コードを書くスピードも上がった。体感としては、以前の10倍くらい速くなった感覚がある組織も多いのではないでしょうか。

でも、プロジェクト全体の成果を見ると、以前とあまり変わっていない。

私たちもこの問題に直面しました。メンバーそれぞれがAIを使って生産性を上げているはずなのに、プロジェクトとしての成果が比例して上がっていかない。

この違和感の正体に気づいたとき、私たちは「サーキット化」という考え方にたどり着きました。

F1マシンに乗り換えたのに、一般道を走っている

分かりやすく車に例えてみます。

従来の働き方は、時速60kmで走る普通の自動車のようなものでした。一般道を走って、信号で止まって、また走り出す。それが普通のスピードでした。

AIを導入すると、いきなりF1マシンに乗り換えたようなものです。時速300kmで走れるポテンシャルがある。エンジンの性能が桁違いに上がった。

でも、多くのプロジェクトで起きているのは、F1マシンに乗り換えたのに、一般道を走り続けているという状況です。

信号で止まる。制限速度を守る。他の車に合わせる。せっかくF1マシンに乗っているのに、時速60kmで走っている。

これでは、生産性が上がるはずがありません。

F1マシンの性能を発揮するには、サーキットが必要です。専用のコースで、障害物なく、全力で走れる環境。それがあって初めて、F1マシンの価値が活きてきます。

サーキット化とは何か

私たちが言うサーキット化とは、一般道にある赤信号、速度制限、渋滞といった、あらゆる障害をなくすことです。

一般道でF1マシンが速く走れないのは、道路上に障害があるからです。赤信号で止まらないといけない。制限速度を守らないといけない。前の車が詰まっていたら待たないといけない。

プロジェクトにも、同じような障害があります。

たとえば、決裁に1日かかる。これは赤信号です。どれだけ速く資料を作っても、承認待ちで止まる。

レビューが溜まって進まない。これは渋滞です。前工程が詰まっているから、自分の番が回ってこない。

確認のためのミーティングが週1回しかない。これは速度制限です。本当はもっと速く進められるのに、同期のタイミングに合わせて待っている。

サーキットには、こういった障害がありません。だから全力で走れる。

ここで重要なのは、個人の加速とプロジェクトの加速は別物だということです。

個人がF1マシンを手に入れても、プロジェクトには何人もの人が関わっています。自分が速く走っても、他のメンバーとの連携ポイントで止まる。組織のルールで止まる。承認フローで止まる。

だから、個人がAIで速くなっただけでは、プロジェクト全体は速くならない。プロジェクト全体を見直す、組織を見直す、ルールを見直す。そこまでやって初めて、サーキット化が実現します。

プロジェクトを爆速化するために私たちが行っていること

では、具体的にどうやってサーキット化するのか。

私たちが行っているのは、まず「周回」を意識したタスク設計です。

従来は、大きなタスクをドンと渡して、完成したら報告、というやり方でした。これは一般道を走るやり方です。途中経過が見えないし、問題があっても最後まで気づけない。

サーキット化では、タスクを小さく分割します。1周=1日とか、1周=半日とか。短いサイクルで回して、1周ごとに結果を共有する。問題があればすぐに軌道修正できます。

次に、レビューのタイミングを早めています。

従来は、完成してからレビュー。これだと、レビューで問題が見つかったときの手戻りが大きい。せっかくF1マシンで速く作っても、レビュー待ちで止まっていたら意味がない。

サーキット化では、途中段階でレビューを入れます。方向性が合っているかを早めに確認する。完成度30%くらいの段階で見せて、フィードバックをもらう。これで、手戻りのリスクを最小化できます。

そして、フィードバックループを短くしています。

サーキットでは、1周ごとにラップタイムが出ます。速くなっているのか、遅くなっているのか、すぐに分かる。プロジェクトも同じで、短いサイクルで成果を計測する仕組みを作る。これが機能すると、改善のスピードが上がります。

サーキット化がすごく難しい理由

ただ、正直に言うと、サーキット化はすごく難しいと私たちは感じています。

なぜかというと、チーム全員が同じ速度で走れるわけではないからです。

F1のレースでは、全員が同じマシンに乗っているわけではありません。ドライバーのスキルも違う。チームの体制も違う。同じサーキットを走っていても、ラップタイムはバラバラです。

プロジェクトでも同じことが起きます。AIを使いこなしている人と、まだ慣れていない人がいる。タスクの処理速度が違う。コミュニケーションのスタイルも違う。

全員を同じペースで走らせようとすると、速い人は待たされるし、遅い人はプレッシャーを感じる。これではチームとして機能しません。

もうひとつの難しさは、サーキットを作ること自体に時間がかかることです。

一般道はすでにあります。今まで通りのやり方で、とりあえず進むことはできる。でも、サーキットを作るには、新しい仕組みを設計して、チームに浸透させて、運用を回していく必要がある。

「サーキットを作る時間があるなら、その時間で仕事を進めた方がいい」という判断になりがちです。短期的には正しいかもしれない。でも、長期的に見ると、サーキットなしでF1マシンを活かすのは難しいと私たちは考えています。

最後に

サーキット化は一朝一夕にはできません。でも、少しずつ始めることはできます。

まずは、1周を短くすることから始めてみてください。

今、週単位で進捗を確認しているなら、日単位にしてみる。日単位でやっているなら、半日単位にしてみる。周回のサイクルを短くするだけで、フィードバックが速くなります。

次に、途中段階で見せることを習慣にする。

完璧に仕上げてから見せるのではなく、方向性が合っているかを早めに確認する。「これで進めていいですか?」という確認を、こまめに入れる。

そして、ボトルネックを見つける。

プロジェクトのどこで止まっているか、どこに時間がかかっているかを把握する。そこがサーキットを作るときの改善ポイントになります。

F1マシン(AI)を手に入れたなら、一般道を走り続けるのはもったいない。サーキットを作って、本来の速度を発揮できる環境を整える。

個人の生産性が10倍になったなら、プロジェクトの成果も10倍にできるはずです。そのためには、マシンだけでなく、走る道も変える必要がある。私たちはそう考えています。

カテゴリ

AIの考え方

タグ

AI

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著者

寺倉 大史

寺倉 大史

Director

業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。

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