労働集約型企業が新規事業アイデアに迷ったら、自社のアセットを一覧化する

想定場面や課題

労働集約型の企業が新規事業を立ち上げようとする際、アイデアがまとまらない、もしくは思いついても確信が持てず前に進めないという課題に直面するケースは多い。特に、既存事業で成功体験がある企業ほど、事業開発の視点が「プロダクトアウト」に偏りやすく、生活者や顧客の課題から出発する「マーケットイン」の発想に馴染みがないこともある。また、経営判断の基準がPL(損益)視点に寄っていると、投資前提の計画づくりやリスク許容度の設計が難しくなり、判断が保留されがち。他にも、事業計画に必要な数値の組み立て方が見えず、どこまでが検証でどこからが本番なのかの線引きがあいまいなまま、うまくいくかが博打になってしまい、踏ん切りがつかないケースも少なくない。一方で、もともと受託からスタートしてシフト転換した企業もあるため、上記はあくまで傾向である。このような場合は、自社のアセットを棚卸しし、アイデアのヒントとなる情報を可視化することが突破口となることがある。ゼロから発想するのではなく、自社の強みを出発点にすることで、視点が定まり、事業開発の方向性も見えやすくなる。

解決策

具体的には、自社が持っているアセットを項目ごとに洗い出して整理する。たとえば、以下のような資産が対象となる。・人材や専門スキルなどの人的資産 ・既存顧客や取引ネットワーク ・業務ノウハウやマニュアル ・社内研修・教育体制 ・設備やツールなどのハード面 ・保有するデータや業務上得られる情報 ・ブランド価値などこのアセット一覧をもとに、既存顧客や社内メンバーへのヒアリングを実施し、「どの課題に応えているのか」「他に転用できる強みはないか」といった観点で掘り下げていく。たとえば、自社の教育プログラムが高く評価されているのであれば、それをパッケージ化して他社に提供できるかもしれない。業務上で収集しているデータに価値があるなら、分析結果をサービスとして展開する選択肢もある。このように、自社のアセットを出発点にすることで、ゼロベースで考えるより構想の手応えが得やすくなる。さらに、既存事業との相乗効果を見込めるかどうかも検討しやすくなり、現実的な事業アイデアに落とし込みやすくなる。既存顧客の中に試験導入の候補がいれば、早期に検証を始めるハードルも下がる。ただし、このアプローチはあくまで「アイデア出しの起点」にすぎない。思いついたアイデアが自社には有効でも、市場で求められていない可能性があるため、アセットベースで方向性を定めた後は、必ずマーケットニーズの検証を行い、客観的な裏付けを得ることが不可欠となる。

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