新規事業を、まずはサクッとリリースする理由

想定場面や課題

新規事業やサービスを立ち上げるとき、「まずはきちんと準備して、大々的にPRしてからリリースすべきだ」と考える人も多い。しかし、実際には多くの企業が「サクッとリリース」するスタイルを選ぶ。その背景には、構想段階では見えない課題や判断ミスを、実際のリリースによって早期にあぶり出したいという狙いがある。たとえば、リリース前に多くの人を巻き込むと、意見が錯綜し、プロジェクトが長期化したり、誰のための施策かが見えなくなってしまう。顧客ではなく、社内都合で設計されたサービスになってしまうこともある。また、リリースを「ゴール」としてしまうと、事業としての成長や改善が後回しになりがちだ。大々的に出す前に、まずは小さく始める。そこで得たデータやフィードバックをもとに軌道修正をかけながら、本当に価値ある事業へと育てていく。この考え方が、いま新規事業の立ち上げにおいて主流になっている。

解決策

新規事業を「サクッとリリースする」最大の目的は、「考える」よりも「試す」ことで、リアルな情報を早く集めることにある。そういう意味で、ベータ版と位置付けてもいい。アイデアの段階では、顧客がどう感じるかはわからない。リリースしてみて初めて、「なぜ買ってくれたのか」「なぜスルーされたのか」が明確になる。これは、どれだけ社内で議論を重ねても得られない情報であり、事業を改善・成長させるうえでの重要な材料になる。また、初期の段階では関わる人数を意図的に絞ることも大切だ。関係者が増えると、確認フローや調整作業も増え、開発のスピードが落ちてしまう。サービスが市場に届くまでに時間がかかれば、競合に先を越されるリスクも高まる。「まずは試す」という前提を共有すれば、100点のものを作る必要はない。完璧を目指すより、最初に出してから直していく方が、結果的に良いものにたどり着ける。さらに、サクッとリリースすることで、チームや経営層に「これは始まりにすぎない」という認識が浸透する。すると、リリース後の改善や運用を前提にKPIを設計できるようになり、予算や体制も中長期の目線で組み立てやすくなる。リリースをゴールではなく、スタートと定義すること。これが、グロースや運用を前提とした思考へとチームを導き、事業としての成長に直結していく。新規事業は、完成度よりスピードと柔軟性。サクッと出すことで、試せる・学べる・変えられる。 その連続が、成功する新規事業をつくっていく。

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